首相の表明で政府の方向性が明確になれば、経済界の地球温暖化対策への加速化が進み、各企業での取り組みが期待されます。
現在、新型コロナウイルスの収束も見えていませんが、
実はその他の未知のウイルスの発生リスクも地球温暖化によって高まるとされていて、
温暖化防止が私たちの健康・社会活動維持の喫緊の課題になっています。
一人ひとりが温暖化対策を意識するために、その関連について調べてみました。
目次
地球温暖化とは
気象庁によると、地球温暖化とは20世紀半ば以降に見られる地球規模の気温の上昇で、主な原因は人間活動による温室効果ガスの増加である可能性が極めて高いとされています。
増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがあり、
中でも、二酸化炭素は地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスで、この二酸化炭素は年々増加しています。
大気中に含まれる二酸化炭素などの温室効果ガスには、海や陸などの地球の表面から地球の外に向かう熱を大気に蓄積し、再び地球の表面に戻す性質(温室効果)があり、
18世紀半ばの産業革命の開始以降、人間活動による化石燃料(石炭・石油・天然ガスなど)の使用や森林の減少などにより、大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加しました。
これにより大気の温室効果が強まったことが、地球温暖化の原因と考えられていると言われています。
また、二酸化炭素に次いで、メタンは地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスで、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生します。家畜のげっぷにもメタンが含まれていて、天然ガスを採掘する時にもメタンが発生します。
もしこれらの温室効果ガスが無い場合の地球の表面の温度は氷点下19℃と見積もられていますが、温室効果のために現在の世界の平均気温はおよそ14℃となっています。
出典:気象庁 「地球温暖化の原因」
JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)によると、
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書(2014)では、このままでは 2100年の平均気温は、温室効果ガスの排出量が最も多い最悪のシナリオの場合には、最大4.8℃上昇するといわれています。
またIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書によれば、温室効果ガス別の地球温暖化への寄与は、二酸化炭素76.7%、メタン14.3%、一酸化二窒素7.9%、オゾン層破壊物質でもあるフロン類(CFCs、HCFCs)1.1%、となっています。
このデータからも、石油や石炭など化石燃料の燃焼などによって排出される二酸化炭素が最大の温暖化の原因と言えます。
気温の上昇によって起こるリスクとして、
・北極などの海氷の融解により海面が上昇
20世紀(1901~2010年)の間、海面は19cm上昇し、現在の状況が続くと2100年までに最大82cm上昇すると予測されています。
・生態系への影響
現在絶滅の危機にさらされている生物は、ますます追い詰められ、さらに絶滅に近づきます。
・熱波による死亡や疾病
熱波により命の危険やマラリアなど熱帯性の感染症の発生範囲が広がります。
・気候変動
内陸部では乾燥化が進み、熱帯地域では巨大台風、ハリケーン、サイクロンといった熱帯性の低気圧が猛威を振るい、洪水や高潮などの被害が多くなります。
・シベリアなどの永久凍土や沿岸の堆積物から大量の温室効果ガスが放出される
夏季にも融けることのない永久凍土。凍土の下には温室効果ガスの一つである大量のメタンが貯蔵されており、温暖化により大気への放出が懸念されます。
出典:JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)
永久凍土融解と未知のウイルス
国立環境研究所地球環境研究センターニュースによると、
「永久凍土」とは地下の温度が二年以上連続して0°C以下になる地面のことで、
永久凍土が存在する領域は、北半球陸域の25%程度を占めています。
この「永久凍土」には、温室効果ガスであるメタンや二酸化炭素をはじめ、様々な有機物が大量に含まれていて、地球温暖化によって「永久凍土」が融解すると、温室効果ガスが大気中にさらに放出され、温暖化を加速させることが懸念されています。
現在の永久凍土の多くは、直近の氷期(最も寒かったのが約2万年前)の頃から凍っているものと考えられています。
このため、地球表層の二酸化炭素・メタン・有機物などの炭素量を比較すると、永久凍土には大気の2倍、陸上植物(地上にあり生存しているもの)の3倍程度の炭素量が含まれていると推定されています。
凍った土の中に蓄積されてきた有機物が分解され、また凍土に含まれているメタンや二酸化炭素が大気中に放出されることになります。
出典:国立環境研究所地球環境研究センターニュース
これにより「永久凍土」融解は負のスパイラルを続けることになります。
温暖化による永久凍土の融解
↓ ↑
凍土から大量の温室効果ガスが放出→温暖化が加速
また、気温が上昇し凍土が溶解すると、氷と「永久凍土」に閉じ込められていた古い土壌微生物が空気中に放出されて活性化するリスクがあり、
SWI(スイス公共放送協会国際部)は、
永久凍土が融けると、有害な細菌やウイルスが大気中に放出されて人体に影響を及ぼす可能性があり、
スイスアルプスの永久凍土では約1000種類の微生物が確認されているがその多くの実態は未だ不明だと伝えています。
シベリアのヤマル半島で2016年、永久凍土が融解して現れた、75年前に死亡した鹿の死体で生き続けていた
炭疽菌による感染症で男児が死亡したことがあり、これは永久凍土が溶け、閉じ込められていた病原菌の胞子が大気中に放出されたことによると報告されています。
未知の微生物の研究は各国の機関で進められていて、細菌やウイルスなどの病原体なのか、現在も活性化して病原性のリスクがあるのかが注目されています。
今のところ、人への直接の影響は考えられていませんが、動物のえさや飲み水を介するとすればそのリスクは未知数です。
出典:SWI(スイス公共放送協会国際部)
温暖化防止対策、世界の取り組み
地球温暖化防止対策として国際的な取り組みは、
1992年に国連のもとで、「温暖化防止のため、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を目的に、世界の国々が地球温暖化に取り組むための気候変動枠組条約が採択され、
1994年に発効されました。この条約における締約国会議はCOPと呼ばれ、1995年から毎年開催されています。
1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、法的拘束力をもった温室効果ガス削減のための議定書が京都で採択され「京都議定書」と呼ばれています。
このCOP3で、日本は第一約束期間(2008~2012年)に京都議定書が定めたCO2中心の温室効果ガス6種の排出量を、1990年より6%削減することを国際社会に公約しています。
この目標は達成され、
京都議定書に代わる2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとして、
「パリ協定」が採択されました。
歴史上はじめて、全ての国が参加する公平な合意で、主に世界共通の長期目標として、
・産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑える、2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
・主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
・イノベーションの創出などが掲げられました。
日本は、世界全体の二酸化炭素排出量の約3.4%を排出しており、国別では、中国、アメリカ、インド、ロシアに次いで世界で5番目に多く二酸化炭素を排出しています。
日本の対策として
・2030年までに2013年比で、温室効果ガス排出量を26%削減する目標を掲げ
再生可能エネルギーへの転換・脱炭素化・イノベーションの創出などの施策を進め、
・2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを目標としてきましたが、
今回の首相の表明で
「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言されました。
明確な期限を示してゼロ目標を掲げたことで、海外からも称賛されています。
しかし対照的に2020年11月4日アメリカは、トランプ大統領政権下で「パリ協定」からの正式離脱を発表し、民主党のバイデン氏は協定に復帰する方針を示していて、大統領選挙の結果が温暖化対策の国際的な取り組みにも大きな影響を及ぼすことになります。
私たちができること
温暖化防止のために私たちができることは多くあります。
・エネルギー消費量を減らす
車の利用を控えて公共交通機関を利用
使っていないコンセントを抜く
冷暖房は冷やしすぎ、暖めすぎ、つけっ放しをしない
シャワーを流しっぱなしにしない
長時間使わない時はコンセントを抜く
・省エネ製品を使用する
省エネ性能の高い家電を使用
洗剤などは詰め替え製品を利用
リサイクル品の購入
エコライフを心掛ける
太陽光発電などを導入
電力会社を再生可能エネルギー重視の会社に切り替える
など、一人ひとりが現状を知り、意識することが大切です。
出典:JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)
昨年ニューヨークで開かれた「温暖化対策サミット」で、気候変動への危機感をスピーチで訴えた、
スウェーデンの少女グレタ・トゥーンベリさん(16)は、毎週金曜日に学校を休んでストライキを続け、大人たちに早急の対策を求めました。
地球温暖化が様々なリスクを招くことを、新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちは改めて意識する必要があるのではないでしょうか。
持続可能な社会を目指して生活を見直したいと思います。
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