
「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞いたことはありますか?
ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすい環境や製品を提供するためのデザイン手法です。
これは、年齢、性別、障がいの有無、文化的背景などの違いを考慮し、誰もが同じように利用できるようにすることを目指しています。
例えば、高齢者や身体的な制約を持つ人、外国人や子供など、様々な人々のニーズに配慮したデザインを取り入れます。
ユニバーサルデザインには、「モノ」の デザインと「情報」の デザインの2つの側面があります。
「モノ」のデ ザインでは、建物や製品が誰もが使いやすいように設計されます。
例えば、多機能トイレやバリアフリーな スロープ、自動ドアなどがあります。
これらの設計は、イラストや分かりやすい指示を備え 、どんな人でも利 用しやすい環境を作り出します。
また、「情報」のデザインでは、インターネットや印刷 物などの情報を、すべての人がアクセスしやすいよう に工夫します 。
これ には 、ウェブサイトのアクセシビリティの向上や、フォントや色彩、レイアウトの配慮など が含まれます。
例えば、色覚異常の人のために色名を記載したり、視覚障がいの人のために音声ガイダ ンスを提供したりします。
ユニバーサルデザインは、社会の多様性を尊重し、す べての人々が等しく参加できるようにすることを目指しています。
ユニバーサルデザインが必要な3つの理由
日本の社会における構造的な問題を解決するために、
政府や自治体ではユニバーサルデザインの推進が行われています。
❶少子高齢化社会への対応
高齢者の割合が増え、労働力が 減少する中、ユニバーサルデザンは高齢者の自立を支援し、 社会参加を促進します。自治体では、多機能トイレやバリアフリー設備の整備など、具体的な取り組みが行われています。
❷障がい者の権利保障
障がい者の権利を保障するため に、日本は国際条約に締結しています。ユニバーサルデザインは、障がい者が社会参加しやすい環境を整備する一環として重要視されています。
❸急速なグローバル化への対応
日本での外国人の増加に伴い、多言語対応や異文化間の理解を促進する必要性が高まっています。ユニバーサルデザインは、外国人にも配慮した社会環境の整備に役立ちます。政府は、施設や情報の多言語化など、外国人との共生を目指した取り組みを行っています。

「情報のユニバーサルデザイン」への取り組み
現代社会では情報がますます重要になっていますが、デザインや文字の大きさ、色使いなどに配慮されていない情報伝達手段が多く、高齢者や障がい者、 色覚障がい者が情報を読み取りにくく感じています。
白内障や弱視などの人は、小さな文字は読みづらく、書体によってはつぶれたり、細い部分は見づらくなります。
また、一般の人と色の感じ方が違う人には、色使いなどに配慮されていない情報伝達手段では、伝えたい情報が伝わらない場合があります。
このような問題に対処するために、情報伝達手段のデザインや配色には配慮が必要です。弊社では印刷物のデザイン制作において、
□ 余白を意識して見やすく、読みやすく
□ 識別しやすい配色とバランスで見やすく
□ 簡潔でわかりやすい文章 元画像 色弱の方の見え方 元画像
□ 目線の動きを考えたレイアウトで分かりやすく
などを考慮したご提案をいたします。
元画像 色弱の方の見え方
元画像 色弱の方の見え方
「カラーユニバーサルデザイン(CUD)
色のユニバーサルデザインであるカラーユニバーサルデザインでは、色覚異常者(色弱者)特有の見え方も考慮した上で、誰もが視認しやすい色使いを行います。
「ユニバーサルデザインフォント(UDFont)
読みやすいのはもちろん、遠くからでも見やすく読み間違いがないように、可読性や視認性、判読性が高くなるようにデザインされており、様々な製品や広告などで使われています。
近年では高齢化にともなって、細かな文字や小さい文字が読みにくいといった人が増えていることや、より多くの人にとって暮らしやすいユニバーサルな社会を目ざしていることから、UDフォントの重要性は高 まっています。
ピクトグラム
ピクトグラムは言語を使わずに情報を分かりやすく伝えるデザインで、非常口やトイレなどのマークとして身近な例があります。
これにより、言語の理解が難しい外国人や子ども、視力が弱い高齢者でも場所や情報を理解できます。
国際規格であるISO7001やISO7000、 ISO7010で規定され、JIS規格でも採用されています。
SDGsの理念「誰一人取り残さない」に沿った「ユニバーサルデザイン」を意識しよう
障がい者差別解消法の改正法が2024(令和6)年 4月1日付けで施行されました。
改正法では、これまで民間事業者には努力義務とされていた障がい者への合理的配慮の提供が法的義務に格上げされており、民間事業者には大きな影響があります。また障がい者の法定雇用率が令和6年4月以降段階的に引き上げられます。
年齢、性別、文化、身体の状況など、人々が持つさまざまな個性や違いにかかわらず、最初から誰もが利用しやすく、暮らしやすい社会となるよう、まちや建物、もの、しくみ、サービスなどを提供していこうとする考え方のユニバーサルデザインがますます重視されるようになると思われます。
ユニバーサルデザインは、SDGs(持続可能な開発目標)の理念にも沿っています。
SDGsでは、誰もが持続可能な豊かな未来を築くために、「誰一人取り残さない」という理念が掲げられており、
すべての人が安全に、安心して暮らせる社会の実現のためにも、ユニバーサルデザインを意識して、広めていきたいと思います。